羽鳥ヨダ嘉郎「リンチ(戯曲)―三部作」

三つの戯曲は、暴力を受ける身体、見世物にされる身体、手を貸してしまう身体を順にたどりながら、儀礼化・ショー・介助といった社会の技術を解体していく。
農村演劇から地政学、民俗、医療、植民地史、介護記録まで、異なる領域・時代・地域の知と苦しみが一つの戯曲のなかに折り畳まれる。
言葉は極度に圧縮・断片化され、意味の手前にある感覚と身振りが読む者の体に直接触れながら、いくつかのインフラを露出させていくだろう。
戯曲という形式を、さらには人体の経てきた歴史を根底から突き詰める、類例のない作品集。
平倉圭(芸術学)、細馬宏通(行動学)による小冊子付。

【収録作品】
「リンチ(戯曲)」
小豆島の安田おどり、聖火の沖縄入り、クリオン島のハンセン病患者隔離施設での女子寮襲撃、南洋群島――寝たきりの「お袋」と介護する「素人」のあいだで、帝国が忘れんとする島々の記憶が圧縮・断片化し、噴き出す。第20回AAF戯曲賞大賞受賞作。

「同伴(戯曲)」
知念正真の戯曲『人類館』が「さる軍団」たちの紐と跳躍のなかで再び開かれる。猿まわし、タミル移民、人種握手会、通天閣――観客席もトイレもキッズスペースもすべてが上演内部に取り込まれ、見ることの暴力が見る者自身の知覚のなかで起動する。

「加担(戯曲)」
農婦、主夫、推し、サポ、同志、パパ。関係名で呼ばれる人物たちの家のなかで、綿ふき病、腎不全看護、満洲の上下水道、イスラエルによる水の武器化、占領下の性暴力が交錯する。ケアと連帯が、暴力と同じインフラの上を流れていく。


195×135mm、114ページ、モノクロ、ハードカバー、2026年。

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販売価格 2,750円(税込)
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